問題『半額よりも2割引のお寿司を買った時の方が嬉しい気持ちになった。いったいなぜ?』

答え:私が相対主義者だから。

 閉店間際のスーパーで寿司を買った。そのスーパーでは、寿司は全てその日の9時に消費期限が切れることになっていて、閉店の30分前には、必ず全ての寿司に半額シールが貼られている。

 しかし、私の食べたい「穴子づくし」だけが、依然2割引のままであった。店員は締め作業をしており、確実にその商品が視界に入っていた。その時に私は悟った。彼はこの「穴子づくし」を閉店後に手に入れようとしているのだ。客の誰もが「穴子づくし」に羨望の眼差しを向けては、2割引のシールを見るや否や、エキストラの寿司たちに手を伸ばしていた。少なくとも私にはそのように見えた。

 そこで私の天秤は傾いた。意気揚々と2割引の「主役」をかっさらい、レジに差し出した。店員の悔しそうな顔。私はその瞬間、きっとそれを食べる時以上のエクスタシーを感じた。

 

 

 相対主義者が皆こうであるとは思わないが、私のこの価値観は確実に私を醜く、稚拙な人間たらしめるものであると言えるだろう。

 

 思えば私の座右の銘であるJ.S.ミルの "It better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied; better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied." なんて名言も相対主義そのものではないか。 

 

 義務教育現場も絶対評価となって久しいが、「選ばれる側」の当事者であるという自意識から抜け出せない限り、私は相対主義の檻から抜け出すことはできないだろう。

 

 だれかたすけて〜(小泉花陽 CV:久保ユリカ